鉄フライパンのメリットには、長く使い育て上げると一生ものの調理器具として使える。おいしい料理が作れるといったものがあります。そしてもう一つの大きなメリットとして鉄フライパンを使って料理をすることで鉄分の補給ができます。
メリットとしてあげられる鉄フライパンでの鉄分補給ですが、『鉄フライパンでの調理は鉄分を摂りすぎ危険』といった情報を目にすることがあります。
はたして鉄フライパンの使用は危険なほどの鉄分の過剰接種に繋がるのでしょうか?
今回は、鉄フライパンでの調理が鉄分の過剰摂取につながるのか。
また、鉄分をとることの効果。そして鉄分が不足した場合や過剰接種したした場合はどうなるのかなどを徹底的に調べてみたいと思います。もちろん人間が1日に必要な鉄分の摂取量はどれくらいなのかも合わせて紹介しますので参考にして頂ければと思います。
筆者は学生時代のアルバイトで調理を経験したことから料理が趣味の1つになりました。鉄フライパンは2年程使っていましたが、メンテナンスに手間がかかるのでリバーライトの鉄フライパンは現在封印中です。
また、環境系の仕事に携わっており金属の溶出や接種といったことには一定の知識があります。
この記事ではこんなことがわかります。
- 鉄フライパンは危険なのか
- 鉄フライパンを使うと鉄分の過剰接種に繋がるのか
- 鉄フライパンを使った場合の鉄分摂取量
鉄フライパンには危険性があるの?
結論からお伝えすると鉄フライパンを使って料理しても鉄分の過剰接種にはならず鉄フライパンは安全といえます。
また鉄フライパンは、テフロン加工されたフライパンとちがい高温で調理しても有害物質が溶け出ることもありません。
ですので鉄フライパンでの調理は安全な調理方法だといえます。
鉄フライパンを使った場合の鉄分摂取量
鉄フライパンからの鉄分の溶出量は2つの条件で変わります。
鉄分の溶出量が変わる条件
- 調理時間(長くなる程溶出量は増えます)
- 調理する料理のPH
(酸性が強い食酢、ケチャップなどを使うと増えます)
※ちなみに油で鉄フライパンをコーティングした場合は食材が鉄フライパンに直接触れにくくなるので鉄の溶出量は下がります。
では具体的に鉄フライパンを使った場合はどのくらいの鉄分摂取量になるのでしょうか。今回は、日本調理科学会さんの実験結果を参考に調理での鉄分摂取量を確認していきたいと思います。
実験内容と実験結果
ビーフシチュー、酢豚、野菜炒めを鉄鍋を使って作り各料理で鉄分の溶出量を計測します。
実験結果
実際の実験結果では、ビーフシチューで4.19㎎と一番多い鉄の溶出量が確認できました。
料理(4人分) | 調理時間 | 鉄溶出量 |
ビーフシチュー | 120分 | 4.19㎎ |
酢豚 | 30分 | 1.40㎎ |
野菜炒め | 5分 | 0.61㎎ |
ビーフシチューでは調理時間で鉄溶出量が多くなり、酢豚では酸性度の高い食酢を使うので鉄分の溶出量が多くなったことが考えられます。野菜炒めの鉄溶出量が極端に少ないのは、調理時間が短く油を使っていることに原因があります。
では、一番鉄の溶出量が多いビーフシチュー(4人分)で4.19㎎は、鉄の過剰摂取といわれる程の量なのでしょうか。人間に必要な鉄分摂取量と比較してみていきたいと思います。
1日の鉄分接種量の目安
厚生労働省が出しているデータによると鉄の1日の推奨摂取量が一番少ない『子供(1歳~2歳)で4. 0㎎(男の子)4.5㎎(女の子)』『成人(18歳~29歳)は7.0mg(男性) 6. 0(女性 月経なし)10. 5(女性月経あり)』となっています。
年齢 | 鉄の1日の推奨摂取量 | ||
子供(1歳~2歳) | 4. 0mg(男の子) | 4.5mg(女の子) | – |
成人(18歳~29歳) | 7.0mg (男性) |
6. 0mg (女性月経なし) |
10. 5mg (女性月経あり) |
ビーフシチューは4人分で4.19mgなので1食あたり1.04mgの鉄分接種になります。仮にビーフシチュー3食分を食べたとしても3.14mgとなり鉄の1日の推奨摂取量には届きません。
ちなみに鉄の1日の耐容上限量は最低でも20mgなので鉄フライパンを使った調理で鉄の過剰摂取になる可能性はかなり低いといえます
鉄分の豆知識
鉄フライパンを使って料理しても鉄分の摂り過ぎにはならないことが分かりましたが、鉄分はそもそも接種することでどのような効果があるのでしょうか。
鉄分接種の効果
では、鉄フライパンの使用で得られる鉄分にはどんな効果があるのでしょうか。
鉄分は少なすぎてもだめですし、過剰摂取しても体にとって良くありません。ここでは鉄分を取ることでどのような効果があるのかご紹介したいと思います。
鉄分は血液中のヘモグロビンを作るためのミネラルです。ヘモグロビンは体内の細胞へ酸素を運ぶ役目をしています。なので鉄分を接種することで体内の隅々まで新鮮な酸素をいきわたらせることができ思考力、学習能力、記憶力の改善が期待できます。
またお肌の調子を整えつやのある髪を維持することも期待できます。
鉄分は健康を維持するために必要な必須ミネラルだけあって程よい接種にはメリットがたくさんあります。
鉄分の摂りすぎで出る症状
接種することでメリットが多い鉄分ですが、ものには限度があります。もちろん鉄分も同じで接種し過ぎると体に負担がかかることになりいろいろな症状が出てきます。
【鉄分の過剰接種で出る症状】
- 便秘
- 吐き気
- 亜鉛の吸収阻害
また鉄分は取りすぎると臓器障害に繋がることがあるので過剰摂取には十分な注意が必要です。
鉄分の不足で出る症状
鉄分が不足すると血液中のヘモグロビンが減ってしまいます。そしてヘモグロビンが不足することで体内に十分な酸素をいきわたらせることが出来なくなる鉄欠乏性貧血になってしまいます。
【鉄欠乏性貧血の症状】
- 頭痛やめまい
- 動悸
- 息切れ
- 全身の倦怠感
- 集中力の低下
- 食欲不振
この様に鉄分が不足する事で様々な症状が出てしまいます。
鉄分を摂り過ぎると良くない人
鉄分は肝臓に貯蔵されるのでC型慢性肝炎の人は鉄分の摂取には注意が必要です。
引用
C型慢性肝炎では、肝細胞に鉄の過剰蓄積がみられ、この過剰蓄積の鉄が、過酸化水素 と反応してフリーラジカル(活性酸素)を発生させ、 肝細胞を傷つけて、病態を悪化させることが明らかになってきました。 • 従って食事からの鉄摂取を制限することで、鉄の過剰蓄積を回避、肝細胞の障害を抑制します。
まとめ
鉄フライパンを使って調理をすることで『鉄分の過剰摂取になり危険』といったことは本当なのかを徹底的に調査してきましたが、鉄分が溶出しやすい料理を鉄フライパンで作っても、厚生労働省が定めている鉄の1日の推奨摂取量に届かず過剰摂取にはならないことが分かりました。
逆に鉄分は不足しがちなミネラルなので、鉄フライパンなどの調理器具を使って効率的に摂取してた方がいいくらいです。
鉄分を摂取する事が出来る鉄フライパンですが、使うには手間がかかるのも事実です。『私は鉄フライパンは使いこなせるかな?』『鉄フライパンを手軽に使いたい』といった方はこちらの記事で確認してみてください。
鉄フライパンは使いこなせそうだし手間もそれほど気にならない。でも鉄フライパンを使うとゴキブリが寄ってくるって聞いたけどホント?と気になる方はこちらがおすすめです。
筆者の経験談も含めて実際どうだったかをご紹介しています。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
この記事が少しでもみなさんのお役に立てればと思います。
参考:厚生労働省HP
参考:日本調理科学会誌
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