「グッと!地球便」で放送された、スリランカで紅茶バイヤーとして奮闘する山口諒二さん。
実家から届いた紅茶との偶然の出会いが、彼の人生をまるごと変えるきっかけになった――そんなドラマのような展開に、心を動かされた方も多いのではないでしょうか。
しかし、番組で描かれたのはあくまで彼の“今”の一部にすぎません。
その裏には、金融マンから異国での独立へと至った壮絶な挑戦と、紅茶への深い愛情がありました。
この記事では、テレビでは語られなかったエピソードや、スリランカで続く新たな挑戦を交えながら、山口諒二さんという一人の人間の“信念”に迫ります。
番組で話題!紅茶バイヤー山口諒二とは
2025年10月放送の「グッと!地球便」に登場した紅茶バイヤー・山口諒二(やまぐちりょうじ)さん。番組を見て、「この人すごい!」と感じた方も多いのではないでしょうか。スリランカで紅茶の買い付けを行いながら、日本と現地をつなぐ新しい形の紅茶ビジネスに挑戦する若き起業家です。
彼はもともと東京の金融機関で働いていました。安定したキャリアを築きながらも、どこか物足りなさを感じていたといいます。そんな日常の中で出会ったのが、スリランカ産のセイロンティーでした。
一口飲んだ瞬間、「なにこれ、うまっ!」と衝撃を受けた――。この出来事こそが、彼の人生を大きく変えるきっかけになったのです。
金融業界から紅茶の世界へ―運命を変えた一杯
それまで金融という数字の世界で働いていた彼にとって、香りや味で心を動かす紅茶の世界はまるで別世界でした。次第に「紅茶の魅力をもっと多くの人に伝えたい」と思うようになり、ついに紅茶メーカーへ転職を決意。安定した職を離れる勇気は相当なものでしたが、その一歩がすべての始まりとなりました。
紅茶との出会いが導いた転職と情熱
転職後は、紅茶メーカーの営業として全国を飛び回りました。飛び込み営業や試飲会など、現場の最前線でお客様に紅茶を届ける日々。
時には失敗もありましたが、「これ、本当においしいね」という声に励まされ、ますます紅茶への情熱を燃やしていったといいます。
その気持ちはやがて、紅茶バイヤーとしての独立、そしてスリランカへの移住という新たな挑戦へとつながっていきます。
スリランカで挑戦中!若き紅茶バイヤーの現在
紅茶メーカーで経験を積んだ山口さんは、ついにスリランカへ渡ることを決断します。紅茶の本場で茶葉を直接買い付け、日本の市場へ届けるという夢を叶えるためです。
スリランカは「セイロンティー」の名で知られる紅茶大国。標高や地域によって味や香りが変わり、世界中の紅茶ファンを魅了しています。そんな地で、日本人として独立し、買い付けを行うというのは簡単なことではありません。
現地買い付けのリアル―茶葉の品質と香りを見極める
山口さんの仕事は、現地のオークション会場や茶園を巡り、数え切れないほどのサンプルの中から「日本の市場に合う最高の紅茶」を見つけ出すこと。
見た目・香り・味・水色などを細かくチェックし、妥協のない目で茶葉を選び抜きます。
一見華やかに見える紅茶バイヤーの仕事ですが、その裏には地道な努力と緻密な感覚の積み重ねがあります。ときには早朝から夜までテイスティングを繰り返し、気候や標高による微妙な変化も見逃さないよう神経を研ぎ澄ませているそうです。
Sri Lanka Tea Board登録や輸出手続きの苦労
スリランカでビジネスを行うには、紅茶局(Sri Lanka Tea Board)への登録や、現地企業との信頼関係の構築、輸出に関する書類手続きなど、多くのハードルがあります。
特に独立して間もない時期は、資金繰りや人脈づくりに苦労したといいます。
それでも山口さんは「一歩ずつ前へ」と言葉にしながら挑戦を続けています。彼のnoteには、「解決したと思えば次の課題が来る。でも続けていれば紅茶が助けてくれる」という一文があり、困難を前向きに受け止める姿勢が伝わります。
どんなに苦しくても、彼が紅茶にかける想いがそれを支えているのです。
「頑張って続けていたら、紅茶が助けてくれる。そんな気がする。頼むで、紅茶。いや、頼むで俺。」
― 山口諒二(note「紅茶バイヤーとしての最近」より)
「頼むで紅茶。いや、頼むで俺。」―noteに綴られた素直な心境
山口さんが自身のSNSやnoteで書いたこの言葉には、紅茶への深い信頼と自分へのエールが込められています。
スリランカでの生活は決して華やかではなく、地道で孤独な日々の積み重ねです。けれど、どんな状況でも前を向き続ける彼の姿に、多くの人が勇気をもらっているのではないでしょうか。
「グッと!地球便」で見せた笑顔の裏には、そんな覚悟と努力が隠されているのです。
テレビでは語られなかった裏側―紅茶以外の取り組み
テレビでは紅茶バイヤーとしての活動が中心に紹介されましたが、山口さんの挑戦はそれだけにとどまりません。スリランカでの暮らしや仕事を通じて、新しい事業にも少しずつ取り組んでいるのです。ここでは、番組では触れられなかった裏側を紹介します。
スリランカで始めたカカオ豆プロジェクト
山口さんは紅茶の買い付けと並行して、現地でカカオ豆のプロジェクトも進めています。スリランカは紅茶の印象が強い国ですが、実は高品質なカカオも生産される地域。彼はその可能性にいち早く気づき、紅茶と同様に“スリランカの恵み”を日本へ届けたいと考えています。
「香りの深さ」や「発酵の繊細さ」という点で、紅茶とカカオには通じる部分が多いと語る山口さん。異なる作物を通して、スリランカの新たな価値を発信しようとしている姿が印象的です。
「紅茶を信じ、自分を信じる。」――山口諒二さんがnoteで語る、スリランカでの挑戦と信念。
出典:『スリランカで紅茶バイヤーとしての日々』(note)
日本でのティーセミナー活動と若手育成
また、紅茶業界に興味を持つ若い世代との交流も積極的に行っており、「海外で働くという選択肢を持ってほしい」と語っています。彼の行動力と情熱は、次世代への刺激にもなっているのです。
大阪万博での紅茶チャリティー企画にも関与
2025年の大阪・関西万博では、紅茶をテーマにしたチャリティーイベントの企画にも携わる予定です。スリランカの生産者を支援しながら、日本の消費者にも「本物のセイロンティーを楽しむ機会」を提供する構想を描いています。
紅茶を通じて“国と人をつなぐ”という使命感のもと、山口さんは単なるビジネスではなく、社会貢献の形を模索しているのです。
セイロンティーの魅力と山口さんのこだわり
スリランカで紅茶を扱う以上、欠かせないのが「産地の違い」
山口さんは、それぞれの茶葉が持つ個性を丁寧に伝えることを大切にしています。ここでは、彼が特に惚れ込む3大産地を紹介します。
ウバ・ディンブラ・ヌワラエリヤ―3つの産地の個性
- ウバ(Uva): 華やかな香りと爽やかな渋みが特徴で、世界三大紅茶のひとつ。
- ディンブラ(Dimbula): バランスが良く、ミルクティーにも最適。
- ヌワラエリヤ(Nuwara Eliya): 標高が高く、香り高く繊細な味わいが楽しめる。
山口さんは、こうした地域ごとの魅力を理解した上で、気候やシーズンごとの変化も踏まえて買い付けを行っています。「どの茶葉も、その土地でしか出せない表情がある」と語る彼の言葉には、作り手への敬意と深い愛情がにじみます。
「香り・水色・余韻」で選ぶ理想の一杯
紅茶を評価する際に山口さんが特に重視するのが、「香り」「水色(すいしょく)」「余韻」
香りは茶葉の生命力を感じる部分であり、水色は品質を示す鏡。そして余韻は、飲み終えたあとに残る“幸福感”を決めるといいます。
この三つの要素が揃った紅茶を届けたい――。そんな思いで彼は今日もスリランカの工場やオークションを巡り、日本の消費者に最高の一杯を届けるために奔走しています。
夢を追う力―山口諒二さんが教えてくれること
安定を捨てるのは怖い。けれど、自分が心から惹かれるものに全力を注ぐことで、人生は大きく変わる。彼の姿がその証です。
安定を捨てて挑む勇気と行動力
金融業界という安定したキャリアを捨て、紅茶バイヤーとして未知の国で生きる。そんな決断を下せたのは、「自分の心が動いた瞬間を信じたから」だと山口さんは語ります。
迷いながらも一歩を踏み出すこと、そして続けること。その積み重ねがやがて周囲を動かし、新しい道を拓く――彼の人生がそれを物語っています。
紅茶を通じて日本とスリランカを繋ぐ未来
山口さんの活動は、単なるビジネスを超え、文化の架け橋となりつつあります。
紅茶を飲むことで、遠く離れた国の自然や人の営みを感じる。そんな体験を通して、人と国、人と自然がつながっていくのです。
まとめ:テレビのその先へ―紅茶で人生を描くということ
「グッと!地球便」での放送をきっかけに、山口諒二さんの存在を知った人も多いはずです。彼の物語は、一杯の紅茶が人生を変えるほどの力を持つことを教えてくれます。
挑戦の道は平坦ではなく、迷いや壁もある。それでも、自分が信じたものを追い続ける姿は、見る人の心を強く打ちます。
紅茶という小さな世界から、国を越えて人と人をつなぐ――その想いが、これからの彼の未来をさらに豊かにしていくことでしょう。
スリランカの空の下で、今日も山口さんは一杯の紅茶に向き合っています。彼の物語はまだ始まったばかりです。

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