『ドラゴンボール』に登場するベジータは、登場当初は冷酷でプライドの高い戦士として描かれていました。地球人を見下し、目的のためには手段を選ばないような存在だった彼が、物語の中盤以降では明らかに変化を見せはじめます。
特に印象的なのは、かつて敵だった地球人のクリリンに対して、時折見せる“優しさ”です。仲間としてともに戦う中で、彼のことを信頼し、助ける場面も見られるようになりました。冷酷な戦士だったベジータが、なぜクリリンにだけ特別な態度を見せるようになったのでしょうか？
クリリンも登場初期から性格が大きく変わったキャラクターの一人なので、ベジータにどのように影響したか考えると面白いですね。
本記事では、その理由をドラゴンボール世代の筆者がさまざまな視点から掘り下げていきます。クリリンの実力や勇気、ブルマとの関係性など深く考察していきます。
ベジータの初期の性格と変化の背景
登場当初のベジータ：冷酷な戦士
ベジータが初めて登場したのはサイヤ人編。ナッパと共に地球へやってきた彼は、目的のためなら味方さえも容赦なく殺す非情な性格として描かれていました。自らを“サイヤ人の王子”と名乗り、圧倒的な戦闘力と誇りの高さを持ち、弱者を見下す姿勢が印象的です。
クリリンに対しても当然ながら初期は敵意をむき出しにしており、味方としての認識すらありませんでした。しかしこの後、ナメック星編やフリーザ編を経て、ベジータの性格に少しずつ変化が現れるようになります。
地球での生活とブルマとの出会い
フリーザ戦後に地球に滞在するようになったベジータは、地球での生活を通じて人間社会に少しずつ馴染んでいきます。その中でも特に大きな転機となったのが、ブルマとの出会いと関係の進展です。
ブルマとの同居生活を経て結婚し、トランクスが誕生することで、彼の中に「家族」という価値観が芽生えました。これまで戦いにしか価値を見出していなかったベジータが、家族や仲間の大切さに気づいていく様子は、多くのファンの心を打ちました。
ベジータのブルマへの変化は『ベジータがブルマに優しい理由は愛妻家だから？結婚後の変化にせまる！』こちらで詳しくみてみてください。「そんなこともあったな～うん。うん。」と懐かしく思えてしまいますww
父としての成長と人間的な変化
父親になったことで、ベジータは“守るべき存在”のために戦うようになります。これはそれまでの「自分のために戦う」という姿勢からの大きな変化です。トランクスとの関わりの中で見せる表情や言葉の選び方にも、以前にはなかった柔らかさが表れるようになりました。
こうした変化は、仲間への接し方にも大きな影響を与えました。そのひとつがクリリンとの関係です。彼を単なる弱い地球人ではなく、仲間として認め、時に気遣いすら見せるようになった背景には、この父としての成長が深く関係しています。
ベジータとクリリンの出会いと関係性の始まり
ベジータとクリリンが最初に出会ったのは、サイヤ人編での地球戦です。このとき、クリリンは悟空不在の中でナッパやベジータと対峙するという厳しい戦いを強いられました。もちろん、この時点では敵同士であり、互いに信頼など微塵もなかったのは言うまでもありません。
その後、ナメック星編に突入すると、両者の関係に変化が訪れます。フリーザ軍という共通の敵と戦う中で、一時的に協力関係を結ぶ場面が増え、ベジータはクリリンの知恵や判断力、さらには勇気を認めるようになっていきます。
とくに、ナメック星での激しい戦闘の中で、クリリンが自らの命を賭して仲間を守ろうとする姿は、ベジータの中に大きな印象を残しました。これが後に、ベジータがクリリンに対して“仲間”としての意識を持つようになるきっかけとなります。
クリリンの実力を認めるベジータの心情
かつてのベジータにとって、戦闘力の低い地球人など眼中にありませんでした。ですが、クリリンの実力と勇気に触れることで、次第に見方が変わっていきます。
たとえばナメック星編では、クリリンがギニュー特戦隊との戦いで見せた冷静な判断や機転を、ベジータはしっかりと見ています。彼の目に、クリリンはただの“弱者”ではなく、頭脳と行動力を兼ね備えた有能な戦士として映るようになったのです。
また、魔人ブウ編ではクリリンの技量が成長していることも明確に描かれており、戦闘に直接参加しない場面でも仲間のために尽力する姿勢がベジータにとって印象的だったはずです。こうした行動の積み重ねが、ベジータの中でのクリリンの評価を確実に高めていきました。
ブルマとの関係がもたらした変化
クリリン＝ブルマの親友という関係性
ブルマとクリリンは、幼い頃から共に冒険してきた長年の親友です。ブルマと家庭を築いたことで、ベジータにとってクリリンは“ただの仲間”ではなく、“義理の親族”のような立場になったとも言えるでしょう。
この関係性は、ベジータがクリリンを大切にする理由のひとつでもあります。ベジータが家族を重視するようになったからこそ、ブルマの大切な友人にも敬意を払うようになったのかもしれません。
義理の仲間としての意識の変化
クリリンとの関係が深まるにつれ、ベジータの中には「仲間として認めている」という意識が生まれます。義理や恩といった感情に無頓着だったベジータが、関係性を尊重するようになっていく様子は、彼の人間性の変化を如実に物語っています。
それまでのベジータなら、他人に気を遣うことなど考えられなかったはずですが、ブルマの影響を通じて、“人とのつながり”を大切にする心を少しずつ身につけていったように見えます。
「家族のような存在」としてのクリリン
単なる義理のつながりを超えて、クリリンは今や「家族のような存在」として見られている可能性もあります。戦闘では助け合い、日常ではともに時間を過ごす機会も増えたことで、互いへの理解と信頼が深まったのでしょう。
家族という絆が生まれたことで、ベジータの中にある“仲間意識”がより強くなり、自然とクリリンへの接し方にも柔らかさが表れているのだと考えられます。
友情の成長と仲間意識の重要性
単なる戦友から信頼できる仲間へ
最初は仕方なく協力していた関係だったベジータとクリリンですが、数々の修羅場をともに乗り越えるうちに、そこには確かな信頼が生まれました。戦闘を通じて培われた絆は、“友情”と呼べる関係にまで発展しています。
とくに重要なのは、ベジータが“戦力”としてだけではなく、“人間としてのクリリン”を認めている点です。この視点の変化こそが、彼の心に芽生えた仲間意識を象徴しているといえるでしょう。
クリリンの行動がベジータに与えた影響
クリリンは、常に誰かのために動く行動派であり、仲間を守るためには命を張ることも厭いません。そういった姿勢は、ベジータにとっては新鮮でありながらも、内心で強く感銘を受けていたに違いありません。
ナメック星での「命をかけた行動」や、悟空のために自分を犠牲にしようとする決断など、クリリンの勇気はベジータにとって一種の刺激だったのではないでしょうか。その結果、ベジータ自身も他者のために戦うようになっていったのです。
クリリンのような“弱くても立ち向かう”仲間がいたからこそ、ベジータは自らの強さに頼らず、人としてどうあるべきかを学ぶようになったのかもしれません。
ベジータがクリリンに優しい理由まとめ
尊敬・友情・家族のような絆
ベジータがクリリンに優しくなる背景には、戦いを通じて得た尊敬、共に生きる中で育まれた友情、そしてブルマとのつながりによって生まれた“家族的な絆”があります。どれもが一因となり、冷酷だった彼の態度を変えていきました。
変化のきっかけと今後の可能性
その変化のきっかけは、一つひとつの小さな出来事の積み重ねです。ナメック星での共闘、地球での生活、家族との関係、そしてクリリンの存在。これらが揃ったことで、ベジータは“孤高の戦士”から“仲間に支えられる存在”へと変わったのです。
ベジータの“優しさ”が意味するもの
かつてのベジータを知る人ほど、今の彼の優しさに驚くことでしょう。しかしその優しさは、彼が弱くなったからではなく、“本当の強さ”を理解するようになった証でもあります。仲間を信じ、支え合うという関係性を築けたことが、彼の成長の証です。
クリリンはその変化を引き出す大きな存在だったと言えるでしょう。
コメント